Q1.小学6年生の息子がオンラインゲームで遊んでおり、無断で親のクレジットカードを利用して、30万円以上の課金をしていた。どうしたらいいか?

【未成年者取消しと例外規定】

民法5条では、未成年者が親の承諾を得ずに、小遣いの範囲を超える契約をした場合には、契約を取り消せると規定しています。しかしその例外として、民法21条は、未成年者が、取引相手に自分が成人であると信じさせるために詐術を用いたときは、取り消すことができないと規定しています。

【詐術にあたるか否か】

(1) 詐術にあたるか否かの認定は難しく、判断は慎重なものになります。

(2) 経済産業省作成の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」によると、次のとおり区分されています。

【詐術に当たる可能性のある例(取消不可の可能性がある例)】

『未成年者の場合は親権者の同意が必要である』旨、申込み画面上で明確に表示・警告したうえで、申込者に年齢又は生年月日の入力を求めているにもかかわらず、未成年者が、自己が成年になるような虚偽の年齢又は生年月日を入力した場合。

【詐術に当たる可能性が低い例(取り消すことができる例)】

① 単に『成年ですか?』との問いに『はい』のボタンをクリックさせるだけの場合

② 利用規約の一部に『未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です』と記載しているのみの場合(警告表示がすぐに目につかない場合)

【取り消しの具体的判断要素】

① 未成年者の年齢

② 商品・役務が未成年者が取引に入ることが想定されるような性質のものか否か)未成年者を対象にしているか、訴求力があるか)

③ 取引をした価格の多寡

④ 警告の程度・効果的な警告表示となっているか

⑤ 未成年者が不実の入力により取引することを困難にする年齢確認や同意確認の仕組みとなっている

以上を総合考慮して、課金契約の取消しの可否が判断されます。

民法

(未成年者の法律行為)

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(制限行為能力者の詐術)

第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

【参考文献】

経済産業省HP